
「飲食店を開きたいけれど、何から始めればいいのかわからない」

「自分らしいお店の形が見えない」

「勢いで始めて失敗したくない」
こんな悩みを解決します。
本記事の内容
「なんとなくやりたい」から「本当にやりたい」に変えるために。
独立前に“目的とビジョン”を明確にすることが、失敗しないお店づくりの第一歩です。
料理の技術や経験よりも大切なのは、
“なぜそのお店をやりたいのか”という目的と、
“どんな未来を描きたいのか”というビジョンを明確にすること。
この記事では、夢を現実に変えるための最初の一歩、
“目的とビジョンの作り方”をわかりやすく解説します。
解説とともに質問を記載するので、
その質問に答えていくことで目的とビジョンが少しでも具体的になればと思います。
本記事の信頼性
えびはら@飲食開業コーチング
✅ 和食の板前(京都・箱根で修業)
✅ ラーメン店・カップ麺の開発経験
✅ ビストロのシェフとして店舗運営・コンセプト設計を担当
✅ コーチングを学び、独立希望者の開業サポートを実施
✅ 出張料理・料理教室も開催
現場を知るリアルな視点で、「やりたい」を「やる」に変える飲食開業コーチ。
はじめに|目的とビジョンがないまま開業すると、なぜ失敗しやすいのか
「メニューも場所も決まった。でも、いざ形にしようとすると何かがブレる…」
そんな時、足りていないのは、お店の軸=目的とビジョンです。
目的が曖昧なまま始めてしまうと、
・メニューの方向性が定まらない
・お客様に伝わりにくい
・集客やスタッフ教育に一貫性がない
といった“迷走状態”に陥りがちになってしまいます。
逆に、目的とビジョンが明確なお店は、
「どんな人に」「どんな価値を」「どんな想いで」届けたいのかが一貫しており、
開業後も成長し続ける力を持っています。
1. なぜ独立したいのか?本当の理由を掘り下げる
「自由になりたい」「自分の店を持ちたい」という気持ちの奥にある、
「何のために?」を見つけることがスタート地点です。
私自身、表面的な気持ちばかりが先行してしまい、
なかなか本当の理由に気付くことができませんでした。
例えば、
「自分の作ったもので、食べた人が笑顔になる瞬間をもっと増やしたい」
「人に感謝されることで、自分の存在意義を感じたい」
「両親や家族に恩返しできる生活を送りたい」
「自分の感性を形にして、世の中に価値を届けたい」
「好きなことを仕事にして、毎日をワクワク過ごしたい」
「自分の人生を、自分の選択でデザインしたい」
「他人の期待ではなく、自分の信念に沿った生き方をしたい」
あなた自身の人生のテーマに直結する理由を言語化しましょう。
深掘りする時は、
「表面的な理由」→「その理由の奥にある感情や価値観」→「それが叶ったらどうなるか」
という順で考えると、独立の“本当の理由”がはっきりします。
2. 誰を幸せにしたいのかを明確にする
お客様、家族、スタッフ──。
あなたが「一番喜ばせたい人」は誰ですか?
対象が明確になると、メニューや価格設定、サービスの方向性が自然と定まります。
3. 自分の強みと経験を棚卸しする
修業先で培った技術、得意なジャンル、感謝された経験。
それらはすべて、あなたのお店の“個性”になります。
過去を振り返り、「どんな時に一番やりがいを感じたか?」を思い出してみてください。
① お客様に喜ばれた瞬間
「自分の作った料理でお客様が笑顔になったとき」
「食べた瞬間『おいしい!』と言ってもらえたとき」
「料理の説明やストーリーに共感してもらえたとき」
② 技術や知識を活かせた瞬間
「仕込みや調理で自分の工夫が活きたとき」
「素材や味付けのバランスを褒めてもらえたとき」
「難しい料理やレシピを再現できたとき」
③ 誰かの役に立てた瞬間
「同僚や後輩に教えたことが上手くできたとき」
「食事を通じてお客様や家族を喜ばせられたとき」
「忙しい中でもお店の役に立てたと感じたとき」
④ 自分の挑戦が結果につながった瞬間
「新しいメニューや料理を完成させたとき」
「試作や改善を繰り返して、納得できる味に仕上げられたとき」
「自分のアイデアでお客様の反応が良かったとき」
やりがいは、
「お客様の反応」「技術が活きた実感」「誰かの役に立てた実感」「挑戦と成長」など、
いくつかの視点から考えると見つけやすいです。
ここから、自分の強み(技術・得意ジャンル・人に喜ばれる力)を紐付けることができます。
4. お客様にどんな価値を届けたいかを考える
「美味しい料理を出す」だけではなく、
“その先にある体験”を描くことが大切です。
たとえば、「一日の疲れを癒す時間」や「家族で安心して過ごせる場所」など。
「お客様に提供する価値」は、
料理の味だけでなく感情や体験、生活への影響にまで広げるとお店の個性が際立ちます。
例をいくつか出すのでヒントになれば嬉しいです。
① 心や感情に寄り添う価値
「一日の疲れを癒す、ほっとできる時間」
「大切な人と過ごす特別なひととき」
「食べることで笑顔になれる瞬間」
「仕事や家事で忙しい日々を忘れられるリフレッシュの時間」
「食を通して小さな幸せを感じられる瞬間」
② 家族や仲間との時間を豊かにする価値
「家族で安心して過ごせる場所」
「友人との会話が弾む食卓の体験」
「子どもと一緒に楽しめる、美味しい体験」
「家族や大切な人と“思い出を作れる場所”」
③ 自分らしさ・学びの体験を提供する価値
「料理やパンの楽しさを学べる体験」
「普段の食卓では味わえない、特別な味や技術」
「食材や調理のストーリーを感じられる体験」
「自分の感性や好みに合った料理を選ぶ楽しさ」
④ 生活・健康・心身への価値
「体にやさしい食材で、健康を意識できる時間」
「季節や素材を感じられる、五感で楽しむ食体験」
「美味しいだけでなく、心も体も満たされる時間」
「美味しい料理を出す」だけで終わらずに、
・食べたあとどんな気持ちになるか
・誰と一緒に過ごすか
・日常や人生にどんなプラスがあるか
…を考えると、“そのお店でしか得られない体験”が明確になります。
5. 理想の一日を思い描く
あなたが目指すライフスタイルが、実は経営方針を決めます。
早朝型か夜型か、家族との時間をどう確保したいか──
理想の一日を具体的に描くことで、“続けられるお店づくり”につながります。
自分のライフスタイルとお店の運営スタイルがリンクするので、
無理なく続けられる経営方針が見えてきます。
① 朝型・家族優先型
例: 6:00 起床 → 家族と朝食 → 仕込み → 昼営業 → 15:00 終業 → 子どもと公園 → 夕食 → 就寝
家族との時間を確保するために、夜は早めに閉店
仕込みは効率よく朝にまとめる
お客様は昼やランチタイムをターゲットに設定
② 夜型・大人向けワイン・バー型
例: 10:00 起床 → ゆっくり準備 → 仕込み → 17:00 オープン → 22:00 閉店 → 23:00 自由時間 → 就寝
昼間は準備や休息に集中、夜の時間帯にお客様を迎える
大人向けに特化したメニューや体験を提供
自分の生活リズムに合った営業時間設定で疲弊を防ぐ
③ ワークライフバランス重視型
例: 7:00 起床 → 家族と朝食 → 仕込みや発送作業 → 11:00 営業 → 16:00 終業 → 自由時間/趣味 → 家族と夕食 → 就寝
労働時間を決め、余裕ある生活リズムを確保
趣味や自己研鑽の時間を入れることで精神的充実度を高める
家族や自分自身が心地よいペースで働く
④ 教室・体験型併設型
例: 6:30 起床 → 朝食 → 仕込み → 10:00 パン教室やワークショップ → 14:00 営業 → 18:00 閉店 → 夕食 → 就寝
教室や体験型イベントを組み込むことで、昼間に集中して活動
家族との時間や自分の休息も確保
お客様に料理やパンを通した学びの体験も提供
⑤ 自分の時間重視型(効率化・自動化)
例: 8:00 起床 → メール・仕込み → 10:00 営業 → 15:00 終業 → 趣味や自己研鑽 → 家族との夕食 → 22:00 就寝
お店の運営を効率化・自動化して、無駄な労力を減らす
自分の時間を確保しながら、質の高いサービスを提供
長期的に続けられるお店作りを意識
理想の一日を描くことで、
・営業時間、メニュー、イベントの方針が自然に決まる
・自分や家族のライフスタイルに合った働き方が実現できる
・継続可能で疲れにくい経営スタイルが見えてくる
6. 店の規模・働き方・収入を現実的に考える
「小さく始める」も、「スタッフを雇う」も正解です。
大切なのは、自分が無理なく楽しめるバランスを設計すること。
数字を意識することで、目的が現実に近づきます。
① 小規模・一人経営型
席数:8〜12席
営業時間:昼〜夕方まで
スタッフ:なし、一人または家族で運営
収入目標:月30〜50万円+家賃・生活費確保
小さく始めることでリスクが少なく、経営を学びながら軌道修正可能
自分のライフスタイル(家族との時間・自由時間)に合わせやすい
メニュー数や営業日数を調整して疲弊しない。
② パートタイム+副収入型
席数:10〜20席
営業時間:週3〜4日、昼のみ
スタッフ:簡単な補助スタッフ1名
収入目標:生活費を補える+趣味や副業での収入
主軸は無理のない範囲で、生活の安定と両立
副業や教室、テイクアウトなどで収益を補完
無理なく続けられるため、長期的に経営経験を積める
③ 中規模・スタッフ雇用型
席数:20〜30席
営業時間:昼〜夜
スタッフ:キッチン1〜2名、サービス1〜2名
収入目標:月50〜80万円の純利益+家族の生活安定
自分は調理やコンセプト設計に集中し、細かい業務、サービス、接客はスタッフに任せられる
人材管理や教育が必要になるため、経営スキルが求められる
将来的な拡大や複数事業展開の土台になる
④ 体験型・高単価型
席数:10席前後(完全予約制)
営業時間:夜中心
スタッフ:キッチン補助1名、サービス1名
収入目標:少人数でも高単価で月50〜70万円の利益
席数は少なくても、料理や体験の価値を高めて単価を上げる戦略
お客様に密度の濃いサービスが提供できる
自分のペースを守りつつ収益も確保可能
⑤ フル規模・成長志向型
席数:30席以上
営業時間:昼夜フル営業
スタッフ:複数名(フルタイム・パート混合)
収入目標:月100万円以上の利益、事業拡大を視野
高い売上を狙う分、働き方はハードになりがち
マネジメントや販促・集客能力が必須
成長志向型でブランド構築や複数店舗展開を目指す場合に適している
・自分の生活とバランスを最優先
→ 家族や自由時間を犠牲にせず続けられる規模を決める
・収益目標を数字で意識
→ 生活費・事業費・利益を逆算して現実的な目標設定
・無理のない働き方を選択
→ 小規模・高単価・スタッフ雇用など、ライフスタイルに合わせる
7. 5年後・10年後の未来を描く
“お店を続けたい”だけでなく、“どう成長したいか”を想像してみましょう。
メニュー開発、教室開催、商品化など、
あなたの未来の姿がビジョンの道しるべになります。
例:
5年後:常連客が増え、少し広めの店舗に移転、人気メニューを瓶詰めや冷凍商品として販売
10年後:姉妹店や複数ブランドでの展開を実現、通販やイベント出店で地域外にも商品を届ける
・未来像は「売上や利益」だけでなく、自分の成長・お客様の体験・社会的価値まで描くと軸がぶれない
・5年後は「現実的に達成可能な姿」、10年後は「理想や拡張の姿」をイメージすると整理しやすい
・日々の意思決定やメニュー開発、営業時間設計などに反映される
8. 「好き」と「得意」を重ねる
“好き”は情熱の源、“得意”は信頼の証。
この2つが重なる場所こそ、あなたらしさが最も輝くポイントです。
① 料理ジャンルで重ねる
自分の好きな料理だから研究や試作が楽しく続けられる
得意分野だからお客様に安定して美味しい料理を提供できる
「好き+得意」がブランド化され、差別化につながる
② 食材や製法で重ねる
パン作りや仕込みの過程自体が楽しく、日々のモチベーションになる
技術力があるから、味や見た目に信頼感が生まれる
教室や体験型サービスにも展開できる
③ サービスや接客で重ねる
人と関わることが楽しいので、自然と心地よいサービスが提供できる
得意分野だからお客様に安心感や信頼を与えられる
「料理+体験」の満足度を高める
④ コンセプト作り・発信で重ねる
自分の表現力を活かせるので、仕事自体が楽しい
得意だから伝えたい価値が正確にお客様に届く
SNSやブログ、パン教室などでもファンを作れる
⑤ 体験型・学びで重ねる
「教えることが好き+上手だから」教室の満足度が高まる
お客様が自分で作る楽しさを体験できる
「学び+体験」でお店の付加価値が増える
・「好き」だけだと継続が難しく、「得意」だけだと情熱が湧きにくい
・この二つが重なる領域が、あなたらしさ・強み・お店の個性になる
・さらに「お客様に喜ばれる価値」と重ねると、経営の軸がより明確になる
9. 家族・パートナーとの価値観を共有する
開業は、家族の生活リズムや働き方にも影響します。
想いを共有し、支え合える関係を築くことが、長く続けるための大切な土台になります。
開業後の経営や生活の安定・モチベーションに直結します。
① 生活リズムの調整
例: 営業時間や仕込み時間を家族の生活リズムに合わせる
家族が朝や夜の生活に無理なく対応できるか確認
自分だけでなく家族もストレスなく日常を送れるようにする
家族の協力を得やすく、働く自分も安心して業務に集中できる
②家事・育児の役割分担
例: 子どもの送り迎えや家事をパートナーと分担
開業後は不規則な勤務が増えるため、家庭内の役割を事前に明確化
家族が「サポートしやすい状況」にすることで摩擦を防ぐ
自分も家族も納得できるバランスを作ることで長期的な継続が可能
③ 金銭・収入に関する価値観
例: 開業資金、生活費、給与や利益の分配を共有
家族の安心感を優先し、無理のない収入計画を立てる
収支の見通しや目標を一緒に確認することで、経営方針に理解を得やすい
「お金の不安」が原因で関係が悪化するリスクを減らす
④ 将来の方向性・夢の共有
例: 5年後・10年後の家族生活や事業展開について話し合う
家族が自分の目標や夢を理解していることで、支援や協力を受けやすくなる
事業拡大や時間調整の際の意思決定がスムーズになる
家族の夢も尊重することで、相互理解が深まる
⑤ ストレスや疲労へのケア
例: 体調や精神的負担を家族と共有する仕組みを作る
「今日疲れた」「手伝ってほしい」と素直に話せる環境をつくる
家族が支えになりやすくなることで、自分も安心して仕事に集中できる
長期的に続けられる開業生活の土台となる
・開業は家族も巻き込むプロジェクトなので、価値観や目標の擦り合わせが必須
・生活リズム・役割・お金・将来の夢・精神的サポートの5つの軸を共有するとスムーズ
・事前に共有しておくことで、開業後のストレスや摩擦を大幅に減らせる
10. ビジョンは進化していい
経験を重ねる中で、想いは変化していきます。
「最初に決めたから守らなきゃ」ではなく、
常に“今の自分”に合う形にアップデートしていく柔軟さが、経営を長続きさせます。
事業の持続性や自分自身のモチベーションに直結します。
①メニューや提供価値の進化
例: 最初は「カレーとパンのランチ」を中心にしていたが、
経験を重ねて「季節限定コースや体験型教室」を加える
お客様の反応や自分の興味に合わせて提供内容を変化させられる
変化を恐れず柔軟に対応することで、飽きられず長期的に支持される
自分のスキルや新しいアイデアを活かす余地がある
②営業スタイル・働き方の進化
例: 最初は昼営業のみだったが、数年後に夜営業や予約制の体験型イベントを取り入れる
自分のライフスタイルや体力に合わせて柔軟にシフト可能
スタッフの増員や家族の協力体制に応じて変化できる
長期的に無理なく続けられる経営スタイルを作る
③事業規模の進化
例: 最初は小さな店舗で一人営業 → 5年後にスタッフを雇い、複数の教室や商品化を展開
成長を焦らず、自分や事業の成熟度に応じて段階的に拡大できる
「最初の形に縛られない」ことで、新しいチャンスに柔軟に対応できる
お店の理念やコンセプトを守りつつ、進化を取り入れるバランスが重要
④ブランド・コンセプトの進化
例: 最初は「パン飲みスタイル」が中心だったが、経験を積んで「家族でも学べるパン教室+テイクアウト販売」へ拡張
お客様のニーズや自分の興味に合わせてブランドを柔軟に変化させられる
固定概念に縛られないことで、新しい市場やファン層を開拓できる
変化の過程で自分の価値観やビジョンがより明確になる
⑤ 自分の人生観・目標の進化
例: 最初は「収入確保と家族時間確保」が主軸 → 経験を積み、「地域に愛されるお店づくり」「教育や食文化の発信」へ発展
自分の人生観や価値観に応じて、事業のビジョンを柔軟にアップデート
変化を受け入れることで、仕事が自分の成長と一致する
「今の自分に合ったビジョン」を常に意識することで、経営の軸がブレない
・ビジョンは「固定されたゴール」ではなく「指針」
・経験や環境、スキルの変化に合わせて更新してOK
・柔軟に変化することで、長期的に続けられるお店づくりと自己成長を両立できる
まとめ|“想い”があるからこそ、お店は強くなる
ビジョンと目的は、ただのスローガンではなく、
お店を支える“心の設計図”です。
「なぜこのお店をやるのか」
「誰を幸せにしたいのか」
「どんな未来を描きたいのか」
この3つの問いに向き合うことで、あなたのお店は“あなたらしい物語”を持ち、
お客様に自然と伝わる魅力を放ち始めます。
夢を“現実”に変える第一歩──それが、「目的とビジョンを明確にすること」です。


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