
「事業計画書って必要とは聞くけど、正直どう書いたらいいか分からない…」

「数字が苦手。売上の根拠なんて説明できる気がしない」

「この売上計画で本当にやっていけるのかな」

「テンプレを見ても、結局何を書けば「正しい」のか判断できない」
こんな悩みを解決します。
本記事の内容
多くの人が、まず最初に事業計画書の作成で悩みます。
けれど本来、事業計画書は融資用の書類というより、
自分の店の姿を具体的にするための道しるべに近いです。
なぜこの店をやりたいのか。
どんな価値を届けたいのか。
どうやって売上を作り、どうやって経営を安定させるのか。
これらを整理していくと、開業の不安は小さくなり、計画そのものが強くなります。
この記事では、
まず「そもそも事業計画書とは何か」を、飲食店開業の視点から深く掘り下げていきます。
本記事の信頼性
えびはら@飲食開業コーチング
✅ 和食の板前(京都・箱根で修業)
✅ ラーメン店・カップ麺の開発経験
✅ ビストロのシェフとして店舗運営・コンセプト設計を担当
✅ コーチングを学び、独立希望者の開業サポートを実施
✅ 出張料理・料理教室も開催
現場を知るリアルな視点で、「やりたい」を「やる」に変える飲食開業コーチ。
「飲食店開業の事業計画書作成のポイント」融資が通るポイントを徹底解説
1. そもそも事業計画書とは何か
事業計画書は単なる提出書類ではなく、店を続けるための「設計図」かつ「説明書」です。
言葉にすると堅く聞こえますが、自分がやることを具体的に整理して、誰が読んでも同じイメージを持てるようにするためのツールです。
融資を受ける際に、絶対に必要になるものでもあります。
実際に作成される方は、融資を目的に作成される方が多いでしょう。
しかし、具体的なフォーマットが存在しないため自由に作ることができます。
私は開業時、融資を受けるところからフォーマットをもらいました。
フォーマットがあったほうが分かりやすく記入しやすいです。
融資を受ける流れとしては銀行や金融公庫に、事業計画書を提出し、面談をし、上司の方に判断を仰ぐのではないかと思います。
なので、実際に融資をするかどうか判断をする方は、事業計画書のみをみて判断します。
面談のときに、とても熱量が高くプレゼンが成功したとしても、事業計画書には反映されません。
なので、計画書の段階でしっかりと作りこんでおくことが大切です。
事業計画書の目的
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自分の思考を整理する
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何を出す店か、誰に来てほしいか、どの時間帯に回すか、感覚で持っていることを「誰がいつ何をすれば成立するのか」というレベルまで落とし込む。
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曖昧なままだと準備や現場対応で迷走する。
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他人に説明するための材料
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銀行や融資担当、家族、出資者、共同経営者に自分の計画を理解してもらうための共通言語。
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資金提供者は数字と根拠を見たい。熱意だけでは通らない。
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実行と管理のためのチェックリスト
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開店前のタスク、仕入れ計画、人員配置、オペレーション、販促スケジュール。
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開店後は実績と計画を比較して改善点を見つけるための基準になる。
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リスク評価と代替プラン作成
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売上が計画に届かなかった場合、人員削減のタイミング、値付け見直し、販促強化などの対処策を想定しておく。
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成功する計画書の基本的な特徴
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経営者の経験や想いと数字がつながっている
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根拠に基づいた仮定(立地分析、来店予測、客単価など)を示している
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具体的で測定可能な目標がある(例:月間来店数、客単価、回転率、粗利率)
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リスクと対応策が書かれている
2. まずは「経歴」から
事業計画書において、経歴はとても重要な要素です。
なぜなら、銀行や融資担当者は「この人は本当に店を運営できるのか」を最初に確認したいからです。
料理の腕前だけでなく、どんな現場を経験してきたのか、どんな学びがあったのか。そこに、あなたの計画の信頼度が現れます。
経歴は、ただ職務履歴を並べればいいわけではありません。
大切なのは、あなたの経験がどのように店づくりにつながっているかを説明することです。
経歴を書くポイント
1. どんな店で、何をしてきたかを具体的に伝える
・どのジャンルで働いていたのか
・どんなポジションを任されていたのか
・1日のオペレーションの中でどんな業務を担っていたか
例えば、
「ランチで1日120食を回す店で、仕込みから盛り付けまで担当していた」
「客単価6,000円のビストロで前菜と肉料理のセクションを任されていた」
このような表現は、読む側にあなたの実力を具体的にイメージさせます。
2. 数字の経験を入れると説得力が増す
飲食の現場では、提供数、席数、回転率、FL管理など、数字が必ず絡みます。
少しでも数字の管理に関わった経験があるなら、それを盛り込むと評価が上がります。
・原価率の計算をしていた
・売上目標に合わせて仕入れ量を調整していた
・スタッフのシフト管理をした経験がある
こうした内容は、融資担当者に「経営視点がある」と受け取ってもらえるポイントになります。
3. 独立を決めた理由と結びつける
経歴の紹介は、単なる説明ではなく、あなたがなぜ独立しようと考えたのかにつながる大事な部分です。
・どういう経験が独立のきっかけになったか
・どんな価値観を持つようになったか
・自分なりにどんな店を作りたいという思いが芽生えたのか
経験と想いがつながっていると、読み手の信頼度は一気に高まります。
4. 「何ができるのか」を明確にする
料理ができる。接客ができる。パンが焼ける。
どれも大切ですが、経営者として必要なのは「やったこと」より「できること」です。
例えば
・仕込みから営業まで全体を見渡せる
・1人営業や少人数営業の経験がある
・オペレーションを組み立てることが得意
・メニュー開発ができる
・SNSでの情報発信ができる
これらを書くと、あなたのお店がどんな形で回っていくのかが相手に伝わりやすくなります。
よくある弱い経歴の書き方
・「飲食経験があります」とざっくりまとめてしまう
・役割や担当業務が曖昧
・経験と独立の理由がつながっていない
・エピソードがなく、読み手の印象に残らない
経歴は「この人なら店を任せても大丈夫だ」と思ってもらうための重要な材料です。
決して派手な経験が必要なわけではありません。
あなたが積み重ねてきたものを、ていねいに説明できれば十分に伝わります。
3. 想いを書く意味
事業計画書に「想い」を書くことを、軽く見てしまう人は少なくありません。
しかし、飲食店のように人の感情が強く関わるビジネスでは、この部分が計画全体の説得力を大きく左右します。
単なる自己紹介ではなく、経営の軸となる価値観を言語化する役割があります。
想いを書く意味は大きく分けて三つあります。
1. 事業の「軸」を明確にするため
店を続けていると、必ず迷う瞬間が訪れます。
メニューをどうするか、客層のズレを感じたとき、採用の判断、値上げのタイミング。
そのときに支えになるのが「自分はなぜこの店をやるのか」という原点です。
想いを書き出しておくと
・判断にブレが出にくくなる
・流行や他店と比較して不必要に揺れない
・店の方向性を見失わずに済む
こうした効果があります。
当たり前のようですが、目の前のことにいっぱいいっぱいになってしまうと見失ってしまう部分です。
2. 読む人に「この店は長く続く」と感じてもらうため
銀行や融資担当者は、あなたの店が「続くかどうか」を最も重視します。
売上計画や原価率の計算ももちろん大事ですが、最終的に見ているのは経営者の覚悟や価値観です。
想いが言語化されていると
・この人は一貫した考えで店を作ろうとしている
・単なる思いつきの独立ではない
・困難があっても続けられそうだ
と評価されます。
飲食の世界は厳しいことを知っている担当者ほど、経営者の内側にある理由を重要視します。
3. お客さんに選ばれる店になるため
想いは、開業後のブランディングにも直結します。
・どんな人に喜んでほしいのか
・なぜその料理にこだわるのか
・なぜその価格なのか
・なぜその場所でやるのか
これらが明確だと、コンセプトに深みが出ます。
スタッフにも伝えやすくなり、SNSの発信やメニュー説明にも一貫性が生まれます。
お客さんから見ても、「この店には理由がある」と分かると、自然とファンになりやすくなります。
想いを書くときのコツ
1. 立派なことを書こうとしなくて大丈夫です
派手なストーリーは必要ありません。
むしろ、日常の中で気づいたことの方が伝わりやすくなります。
例:
・自分が働いてきた店で感じた理不尽さをなくしたい
・お客さんの笑顔が嬉しくて、この仕事を続けたい
・「こんな店が近くにあったら」と思える場所を作りたい
肩の力を抜いた方が、自然に本音が伝わります。
2. 経験とつなげて書く
前の章で整理した経歴と紐づけると、一気に説得力が出ます。
「この経験が、こういう価値観を作った」という流れです。
3. 一文で言えるかを確認する
想いは長文になりがちですが、読み手の心に残りにくくなります。
一文で言えるレベルまで削ってから、必要な補足を足すと読みやすくなります。
作成時に悩むこと
・「何を書けばいいか分からない」と手が止まる
→ 立派な言葉を書こうとしすぎているサインです。エピソードや気づきを軽くメモするところから始めると書きやすくなります。
・「感情を書いても意味があるのか?」と疑う
→ 飲食のような「人の感情」が売上につながる仕事では、想いの有無で店の安定度が変わります。計画書の読み手もそこを確実に見ています。
4. 他店との違いを言語化する
事業計画書の中でも、金融機関が必ず確認するのが「他店との差別化」です。
なぜなら、飲食店は競合が多く、どんなに良い料理でも似たような店が周囲にあれば埋もれてしまう可能性が高いです。
「あなたのお店が、その場所で、どうやって選ばれるのか」
これを明確に説明できるかどうかで、計画書の説得力は大きく変わります。
多くの人が勘違いしているのは、
差別化とは「奇抜なこと」や「専門性の高さ」だけではないという点です。
特別な技術があるかどうかよりも、金融機関が知りたいのは、
その店が地域でちゃんと機能するのか、長く続くのかという現実的な部分なのです。
① 立地と客層に合った強みを示す
例えば、
・駅から離れているなら、なぜその立地でも成立するのか
・住宅街なら、どんな生活導線のお客さんに合うのか
・オフィス街なら、ランチ需要をどう取り込むのか
周囲の環境が違えば、求められる店の形も違います。
その場所だからこそ成り立つ強みを説明できると、計画の現実味がぐっと増します。
② メニューや提供価値の独自性
ただ「美味しい料理を出す」だけでは差別化になりません。
美味しいのは当たり前で、それ以上の魅力が必要になります。
例えば、
・自家製のパンを中心にした料理構成
・地域にないジャンルに特化
・素材の使い方にストーリーがある
・調理技術に自信があり、その背景に経験がある
など、あなたの料理に宿る価値を言語化して伝える必要があります。
その際、プロの料理人としてではなく、
「その味を求めるお客さんが地域にどれだけいるのか」という視点をセットにすると説得力が増します。
③ 営業スタイルや店づくりの違い
メニュー以外にも、店の魅力は沢山ありますよね。
・営業時間が周辺店舗とずれていてニーズを拾える
・カウンター中心で、一人でも入りやすい
・夫婦で運営することで人件費が安定し、長期運営につながる
・丁寧な接客や、温かいコミュニケーションを売りにしている
こうした店の在り方そのものが、大きな差別化になるのです。
金融機関は、料理だけでなく、あなたの店が「どういう体験を提供する店なのか」まで知りたいと思っています。
他店との違いは、融資の核心部分
差別化を言語化できるということは、
「あなたの店が生き残る根拠を説明できている」ということです。
だからこそ、融資審査ではとても重視されます。
逆に、ここが曖昧だと、どんなに経歴が良くても、どれだけ情熱があっても、評価は上がりにくいです。
競合が多い飲食業だからこそ、自分の強みを自覚し、それを言語化することが経営者としての第一歩になります。
5. 周囲の飲食店、立地の環境を調べる
事業計画書の信頼性を上げるために必要なものは、周囲の環境調査です。
飲食店は立地に強く影響されるビジネスなので、
「この場所で本当にお店が成り立つのか」を自分自身が理解しておくことが欠かせません。
多くの人は、まずグーグルマップ、食べログで周辺の店舗を調べます。
もちろんそれも必要ですが、実際に足を運んでみると、ネットでは分からないことが見えてきます。
私も開業時は、周囲の環境調査をしました。
元々土地勘のある場所でお店をオープンしましたが、それでも細かい部分までは把握していませんでした。
実際に歩きましたし、グーグルマップでも細かくリサーチをしました。
どんな外観なのか、どんなジャンルのお店なのか、どんな客層なのか、どんな料理を出すのか、
実際に歩き、ネットを駆使すれば見えてくることが沢山あります。
①朝・昼・夜でまったく違う表情がある
立地は、時間帯によって人の流れも客層も変わります。
例えば、
・朝は静かでも、昼になると急に近所の会社員が増える
・夜だけ人通りが多くなるエリア
・休日と平日でまったく違う雰囲気になる商店街
こうした変化は、地図では読み取れません。
実際に歩いてみることで、どの時間帯に最も需要があるかが見えてきます。
「自分が出す予定の営業時間で、お客さんはどれくらい通るのか」
「その時間帯に他の店はどんなメニューで勝負しているのか」
これを体感レベルで理解しておくと、計画書の説得力が一気に高まります。
②競合店は敵ではなくヒントの宝庫
周囲の飲食店を調べるとき、やるべきことは単に「競合を数える」ことではありません。
・どんな客層が来ているのか
・価格帯はどれくらいか
・回転率は早いのか遅いのか
・ピークタイムはいつなのか
・人気の理由が何なのか
こうした視点で観察すると、自分の店のポジションが見えてきます。
もし周囲に似た店が少なければ、その理由を考える必要があります。
「需要がないから少ないのか」
「単に誰もやっていないだけなのか」
ここを見極めることが経営判断につながります。
③生活導線を把握する
そのエリアでは、どんな生活スタイルの人たちが動いているのか。
これは飲食店において、非常に重要なポイントです。
・駅と住宅街の間にあるのか
・スーパーの近くで買い物帰りに立ち寄れるのか
・子どもが多い地域なのか
・夜は人が歩かないエリアなのか
生活動線が見えると、「どんな店なら求められるか」が見えてきます。
映えを狙ってSNSからの集客をすることもできますが、
周辺の方に来ていただけるように、愛されるようなお店作りが重要です。
そして、事業計画書にこの観察結果をしっかり書けると、金融機関からの信用が高まります。
④実際に自分がお客として利用することも大切
周囲の店に入ってみるのも、とても大きなヒントになります。
・店員さんの接客
・空間の雰囲気
・料理の提供スピード
・注文されているメニュー
・お客さんが長居しているかどうか
こうした細かい情報は、外から眺めるだけでは分かりません。
実際に利用してみると、
「このエリアに求められている店はこういう店なんだ」
というリアルな感覚を掴むことができます。
⑤ネットでは拾えない肌感覚が、計画書に深みを出す
結局のところ、どれだけネットで情報収集しても、実際の雰囲気やリアルな人の動きは、自分の目と足で確認しないと分かりません。
朝・昼・夜の3回歩くだけで、立地の理解度はまったく別物になります。
その肌感覚が、
・売上予測
・ターゲット設定
・営業時間
・客単価
など、すべての判断に影響します。
金融機関が見たいのは、「この人は現場をちゃんと理解して計画しているのか」という点です。
自分の足で歩いて得た情報は、そのまま事業計画書の説得力になり、開業の成功率を確実に高めてくれます。
6. コンセプトは曖昧なまま出さない
事業計画書の中で、最もあいまいに書かれがちなのがコンセプトです。
「地域に愛される店にしたい」
「落ち着いた空間で美味しい料理を提供したい」
こうした表現はよく見ますが、正直なところ誰でも書けますし、差別化にはなりません。
金融機関が知りたいのは、
「あなたの店はどんな世界観を持ち、どんな客層に、どんな価値を提供するのか」
もっと具体的で、再現性の高い説明です。
コンセプトが曖昧だと、店の方向性もブレます。
その結果、メニュー構成、価格、内装、営業時間、スタッフ教育まで、すべてが中途半端になります。
だからこそ、開業前にコンセプトを明確に固めることが欠かせません。
①コンセプトは「短い言葉で本質を表す設計図」
コンセプトとは、キャッチコピーでも雰囲気でもありません。
その店を説明するための「設計図」です。
例えば、
・焼き立てパンと一杯のワインでくつろげる、街の小さなビストロ
・子ども連れでも過ごしやすい、家庭料理ベースの定食屋
・仕事帰りの30代男性が一人でふらっと寄れる、旨い酒とつまみの店
このように、一文で「誰に」「どんな価値を」「何で提供するか」が伝わるものが理想です。
コンセプトを曖昧にしないための3つの視点
以下の視点で整理すると、コンセプトが一気に具体的になります。
① 誰のための店なのか(ターゲット)
ターゲットを決めることは、誰を選び、誰を選ばないかを決めることです。
・30代〜50代、仕事帰りの大人
・小さな子どもがいるファミリー
・ワインを気軽に楽しみたい女性
・一人で食事したい近所の会社員
ターゲットが明確だと、メニューも空間も価格も揃っていきます。
② どんなシーンに使われる店なのか
同じ飲食店でも、利用されるシーンによって印象は大きく変わります。
・普段の夕食として
・記念日や特別な日として
・仕事帰りに軽く一杯
・休日のゆっくりランチ
どの場面にぴったりの店なのかを決めることで、店の用途がはっきりします。
③ 店の価値は何か(提供価値)
「美味しい料理」だけでは価値にはなりません。
料理+空間+経験が合わさって初めて価値になるからです。
・素材の活かし方
・家庭では食べられない技術
・居心地の良い距離感の接客
・香りや音までこだわった空間
・自家製だからこそ出せる味
こうした価値が言語化されて初めて、コンセプトは機能します。
コンセプトが固まると、すべての判断が楽になる
コンセプトが明確になると、「これは店に合う」「これは店に合わない」という判断ができるようになります。
・メニューの取捨選択
・内装の方向性
・価格設定
・営業時間
・立地との相性
・スタッフの教育方針
これらすべてが、コンセプトに沿って一貫することで、店の世界観がぶれなくなります。
結果として、お客さんにとっても覚えやすく、選ばれやすい店になります。
コンセプトが曖昧なまま開業してしまうリスク
コンセプトが固まっていないまま開業すると、次のようなことが起きやすくなります。
・メニューが増え続ける
・お客さんが定着しない
・価格が適正か分からなくなる
・SNSの発信がぶれる
・周囲の店との違いが説明できない
・経営者自身が迷い続ける
逆に言えば、コンセプトがしっかりしている店は強いです。
時間が経ってもブレない芯があり、多少の環境変化があっても保ち方が分かります。
7. なぜ「お金の根拠」が最も大切なのか
事業計画書の中で、最も厳しく見られるのが収支計画です。
想いがあり、コンセプトが明確でも、数字の裏付けが弱ければ融資は通りません。
なぜなら、金融機関が見ているのは「この店が感情的に魅力的か」ではなく、「返済できるかどうか」だからです。
収支計画は、夢を否定するためのものではありません。
むしろ、夢を現実に落とし込むための作業です。
①売上は希望ではなく、積み上げで考える
よくあるのが、月商〇〇万円という数字を先に置いてしまうケースです。
しかし、正しい順番は逆です。
・席数はいくつか
・1日に何回転できるのか
・1回の来店でいくら使ってもらえるのか
・営業日は月に何日か
この積み上げによって、売上は導き出されます。
例えば、
席数20席
1日2回転
1人あたり客単価3,500円
営業日25日
この条件なら、
20席 × 2回転 × 3,500円 × 25日
という形で、売上の根拠を説明できます。
金融機関が知りたいのは、この数字がどこから来たのかという点です。
②客単価には必ず理由が必要
客単価は、なんとなく決めてはいけません。
メニュー構成から逆算する必要があります。
・メイン料理はいくらか
・ドリンクは何杯飲んでもらう想定か
・セットやコースはあるのか
・昼と夜で単価は変わるのか
例えば、
フード2,000円
ドリンク1,500円
デザート500円
こうした内訳が説明できると、客単価の説得力が一気に上がります。
立地や客層、周囲の価格帯と照らし合わせて、現実的かどうかを必ず確認してください。
③原価と人件費は甘く見ないことが重要
飲食店の収支でブレやすいのが、原価と人件費です。
今まで色々なお店で働いてきましたが、原価率をしっかりと管理しているお店は少なかったです。
特に、肉と魚です。
肉、魚(特にマグロ)は、原価率が特に高いので注意が必要です。
野菜、調味料は、肉と魚に比べたら誤差みたいなものです。
原価については、
・食材ロスが出る前提で考える
・仕込み量と提供数のバランスを想定する
・原価率は余裕を持って設定する
人件費については、
・ピークタイムの人手
・休みの日の代替要員
・自分が抜けた場合の想定
ここまで考えておくと、後から苦しくなりにくくなります。
④固定費を把握する
家賃、光熱費、通信費、消耗品、広告費などなど。
これらは売上に関係なく毎月発生します。
特に家賃は、売上に対して重すぎないか、長期的に払っていけるか、を冷静に判断したうえで物件の契約をする必要があります。
固定費を把握することで、「最低限必要な売上ライン」いわゆる損益分岐点が見えてきます。
なるべく固定費は下げた方がいいと思います。
一つ一つはそこまで高額ではないのですが、積み重なるとすごいことになってしまいます。
例えば、
発注でFAXを使うとします。(まだまだFAXが重宝されている業者は多いです)
NTTに電話番号とFAXのセットで申し込むと、場所は条件等で変わってくると思いますが、
私が申し込んだときは、4400円と言われました。
それにプラスで使った分の通信料がかかります。
使う頻度が多く、絶対に必要な機材であれば当然契約しますが、
発注くらいしか使わないのであれば、今はネットFAXなどもあり、かなり安く使えたり、無料のサービスもあります。
電話番号は、ネット開通時にいえば安く手に入れることもできます。
開業時は色々考えることも多いと思いますが、営業が始まるともっと忙しくなると思うので、
それまでに、一つ一つ確認しながら選択することが大切です。
⑤なぜ金融機関は根拠を求めるのか
金融機関は、完璧な計画を求めているわけではありません。
見ているのは、「この人は現実を理解した上で数字を組んでいるか」という点です。
・立地を見て
・周囲の店を観察して
・自分の経験に照らし合わせて
数字を組み立てているかどうか。ここが伝われば、計画全体の信頼度は大きく上がります。
⑥収支計画は開業後の道しるべに
収支計画は、融資を受けるためだけのものではありません。
開業後に、
・売上が計画より低いのか
・原価が高いのか
・人件費が膨らんでいるのか
こうしたズレを確認するための基準になります。
数字を把握している経営者ほど、修正が早く、立て直しも早いです。
お金の話は、避けたくなる部分かもしれません。
しかし、ここに真正面から向き合うことが、飲食店を続ける力になります。
8. 振り返り
事業計画書は、融資を受けるための書類であると同時に、
自分自身がこの店を本当に続けられるのかを確認するためのものです。
大切なのは、きれいな文章を書くことではありません。
なぜこの店をやるのか?
なぜ自分がやるのか?
なぜこの立地で成り立つのか?
この三つが、一本の線でつながっているかどうかです。
経歴と想いが、計画の土台になる
経歴は、過去の実績を並べるためではなく、今回の開業につながる理由を示すために書きます。
想いは、感情論ではなく、開業後の判断基準をつくるためのものです。
この二つが曖昧だと、後に続く計画全体がぼやけてしまいます。
他店との違いと立地理解が、現実性を支える
他店との違いを言語化することで、誰に選ばれる店なのかが明確になります。
立地や周囲の環境を自分の足で確認することで、机上の数字ではない、現実的な計画になります。
この二つが合わさって初めて、売上の前提条件が固まります。
コンセプトが、すべてを一本にまとめる
コンセプトは、雰囲気づくりの言葉ではありません。
経営判断を迷わず行うための軸です。
何をやらないかが決まることで、無理のない店づくりと収支計画につながります。
お金の根拠は、これまでの積み重ねの結果
売上や収支は、希望を書くものではありません。
1〜6で考えてきた内容を、数字に置き換えた結果です。
ここに無理がなければ、計画全体の信頼性は自然と高まります。
事業計画書で本当に見られていること
見られているのは、この人は現実を理解した上で開業しようとしているか?という一点です。
1〜7が矛盾なくつながっていれば、事業計画書として十分に機能します。

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